2020年9月

マイナンバーカードの健康保険証利用受付が始まりました

 

2021年3月から、マイナンバーカードが健康保険証として利用できることになっていますが、その申込みが始まりました。詳細はマイナポータルのホームページに掲載されていますが、概要は以下のようなものです。

 

◆メリットは?

① 就職・転職・引越をしても健康保険証としてずっと使える

② マイナポータルで特定健診情報や薬剤情報・医療費が見られる

③ マイナポータルで確定申告の医療費控除がカンタンにできる(2021年分確定申告から)

④ 窓口への書類の持参が不要になる

 

◆使い方は?

医療機関や薬局でマイナンバーカードをカードリーダーにかざすだけで使えます。オンライン資格確認が導入されている医療機関・薬局では、マイナンバーカードを持参すれば健康保険証がなくても利用できます。医療機関や薬局は、マイナンバーカードをかざした後、顔写真で本人を確認します。また、医療機関や薬局が12桁のマイナンバーそのものを取り扱うことはなく、マイナンバーカードのICチップ内の利用者証明用電子証明書を利用します。

ただ、オンライン資格確認が導入されていない医療機関・薬局では、引き続き健康保険証が必要です。

 

◆事前に準備するもの

① 申込者のマイナンバーカード+数字4桁の暗証番号(パスワード)

② マイナンバーカード読取対応のスマートフォン(またはPC+ICカードリーダー)

③ 利用するブラウザ用のマイナポータルアプリのインストール

 

なお、マイナポータルのホームページでは、パソコンの場合とスマートフォンの場合の利用申込方法の動画が公開されることになっているようですが、8月12日現在では「準備中」の表示になっています。

【マイナポータル「マイナンバーカードを健康保険証として利用できるようになります!」】

https://myna.go.jp/html/hokenshoriyou_top.html?fbclid=IwAR2jRv7ros5drqQWeFXxg87T91cjFNTxGqwFlK8u2lo1gTxnuV_FgR2RAto

 

育児休業制度の利用状況は?~厚労省「令和元年度雇用均等基本調査」

 

◆女性の管理職割合や育児休業取得率などに関する状況を公表

厚生労働省は、7月31日に「令和元年度雇用均等基本調査」の結果を公表しました。本調査は、男女の均等な取扱いや仕事と家庭の両立などに関する雇用管理の実態把握を目的に実施しているもので、令和元年度は、全国の企業と事業所を対象に、管理職に占める女性割合や、育児休業制度や介護休業制度の利用状況などについて調査しています(令和元年10 月1日現在の状況)。

 

◆育児休業取得者の割合

本調査の中でも、育児休業制度の利用状況に関する調査結果について注目したいと思います(調査対象数6,209 事業所(有効回答数3,460 事業所、有効回答率55.7%))。平成29 年10月1日から平成30 年9月30 日までの1年間に在職中に出産した女性(男性の場合は配偶者が出産した男性)のうち、令和元年10 月1日までに育児休業を開始した者(育児休業の申出をしている者を含む)の割合は、女性が83.0%(平成30年度82.2%)、男性7.48%(平成30年度6.16%)となっています。

 

◆有期契約労働者の取得率

また、同期間内に出産した、制度の対象となる有期契約労働者の女性の育児休業取得率は77.5%で、前回調査(同69.6%)より7.9ポイント上昇していますが、同期間内において配偶者が出産した、有期契約労働者の男性の育児休業取得率は3.07%で、前回調査(同7.54%)より4.47 ポイント低下しました。有期契約労働者の取得率については、男性の場合は前回調査より下がる結果となっており、女性と比べて伸びていないことがわかります。

 

◆男性の育休促進の取組み

男性の育児休業については、かねてより国も取得促進に向けて取り組んでいます。取得率は7年連続で増加しているものの、上昇率は小幅にとどまっており、政府が目標としてきた「2020年に13%」の達成には程遠い状況となっています。そのような状況も受け、厚生労働省は、子どもの出生直後に着目した父親向けの休業制度を新設する方向で検討を始めているとのことです。子どもの出生後4週間に限り、簡単な手続きで休業でき、給付金も増やす案となっています。

コロナの影響で社会的にも働き方に対する意識の変化があらわれているなか、企業としても男性の育休取得については対応を検討していく必要がありそうです。

【厚生労働省「令和元年度雇用均等基本調査」】

https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/71-r01.html

 

 

組織と人を成長させる1 on 1ミーティング

 

◆1 on 1ミーティングとは

働き方改革・テレワークの浸透などで、社内コミュニケーションの重要性が再認識されています。そこで注目されているのが、「1 on 1(ワンオンワン)ミーティング」です。単に「1 on 1」と呼ばれることもあります。これは、上司と部下が1対1で行う面談です。1回の所要時間は30分~1時間程度で、1週間や1か月ごとなど定期的に開催するのが特徴です。外資系企業やスタートアップ企業等では、すでに文化として定着しています。

話し合う内容は、企業によってさまざまです。現状の確認や、業務上の小さな気づきや困りごと、今後の目標、プライベートについてなどが多いようです。人事評価のための面談とは異なり、その場で評価することはしません。定期的に対話を行うことで、上司と部下の関係性を深めながら、部下自身の気づき・成長を促すことが目的です。

 

◆どのような効果があるか

1 on 1ミーティングは、以下のような目的をもって行うと、大きな効果があるとされています。

1 部下の成長を促す

1 on 1では、上司が問題や解決策を教えるのではなく、対話の中で部下が自ら気づくことを求めます。これにより、自らの課題について主体的に考え、行動できるようになります。

2 上司の成長を促す

1 on 1における上司の役割は、部下の考え・感情を汲み取り、適切な方向に導くことです。聞く力を磨くことで、部下を育成する力を高めることができます。

3 組織の成長を促す

上司と部下が信頼しあい、なんでも話せる組織を作ることができます。こういった組織では、状況把握や適切な人材配置が行いやすくなります。イノベーションを生み出すことに繋がります。また、不満や不安にいち早く気づくことができ、定着率の向上にも役立ちます。

 

飲み会や喫煙所等でのコミュニケーション機会が減少し、テレワーク等で顔を合わせることすら減っている昨今、かつてより意識して社内コミュニケーションをとる必要があります。そのための仕組みとしての1 on 1ミーティング導入を考えてみてもよいかもしれません。

 

 

社会福祉施設、陸上貨物運送事業における労災防止について

 

◆社会福祉施設&陸上貨物運送事業の労災防止に向けた通達が発出

厚生労働省から、次の2つの通達が公表されました。

・社会福祉施設における労働災害防止に向けたより一層の取組について(令和2年7月28日基安発0728第1号)

・陸上貨物運送事業における労働災害防止に向けた一層の取組について(令和2年8月3日基安発0803第2号)

通達では、令和元年の社会福祉施設における休業4日以上の死傷者数は10,045件(前年比5.2%増)と急増していることや、陸上貨物運送事業においては前年より2.8%減少したものの、平成29年度比で4.6%増加していることなどから、労働災害防止に向けて、重点的に取り組む必要があるとしています。

 

◆労働災害の特徴

社会福祉施設では、腰痛等の「動作の反動・無理な動作」と「転倒」による死傷災害が多く、特に「動作の反動・無理な動作」は、社会福祉施設における死傷災害の約3割をしめ、他業種と比較しても災害件数が多い傾向にあります。また、施設利用者の送迎時の交通事故も社会福祉施設での特有の事故です。

陸上貨物運送事業における労働災害については、荷役作業時における労働災害が全体の約7割を占めており、荷役作業時の労働災害では特に荷台からの転落が多く、うちトラック荷台等への昇降時に発生するものがその約4割を占めています。

 

◆労働災害防止対策で活用したいリーフレットや資料

通達では、社会福祉施設、陸上貨物運送事業の労災の特徴を踏まえ、次の資料等を利用し、関係者団体に対して、積極的な周知・指導に取り組むようにとしています。

【社会福祉施設】

・「職場の危険の見える化(小売業、飲食業、社会福祉施設)実践マニュアル」

労働災害防止対策の有効なツールの1つとして「職場の危険の見える化」がありますが、本マニュアルでは、例えば、介助の伴う「腰痛予防や」「転倒予防」の見える化の例として、福祉用具(機器・道具)を活用した腰痛予防や、施設利用者の送迎時の交通事故防止のための交通ヒヤリマップの作成など、イラスト入りでわかりやすく紹介されています。その他、「職場における腰痛予防対策指針」や「エイジフレンドリー補助金」「職場における新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するためのチェックリスト」なども紹介されています。

【陸上貨物運送事業】

・「陸上貨物運送事業におけるトラック荷台からの転落を防ぐために 荷台昇降設備・装備はありますか?」(リーフレット)

トラック荷台への昇降時の労働災害を防ぐための最新の安全対策とともに、転落防止に役立つチェックポイントが紹介されています。また、「労働災害が増えています。荷物の積み降ろしを安全に」(リーフレット)では、荷役作業時の死亡災害にみる災害パターン別の原因と対策が紹介され、参考になります。