2019年7月

ユースエール認定取得で外国人留学生採用も有利に

 

◆日本での就職要件緩和により注目される「外国人留学生」

外国人留学生を採用したい企業が増える一方、日本での就職を希望する外国人留学生の就職先の選択肢が制限されていて断念してしまうケースが少なからずあったため、今年5月に法務省告示が改正されました。

改正により、大学等で学んだ分野以外を就職先とする就職活動が可能になり、今後、日本で就職する外国人留学生が増えることが見込まれます。

 

◆どんな働き方が可能になる?

改正の内容は、高い日本語能力を有し大学または大学院を卒業した外国人留学生を対象に、在留資格「特定活動(就職活動)」による入国・在留を認めるものです。

出入国在留管理庁ガイドラインでは、具体的な活動例として、(1)飲食店、小売店、ホテル・旅館での接客や販売の業務、(2)他の外国人従業員に日本人従業員の作業指示を伝えながら行う工場のライン業務、(3)観光客向けツアー企画・立案や通訳を兼ねながら行うタクシードライバー業務、(4)他の外国人従業員等の指導を行いながら行う介護業務が挙げられています。

 

◆企業が行う受入手続も軽減

外国人材受入れに必要な手続きは企業分類により異なり、中小企業に限って企業の沿革や主要取引先等を明記した企業概要、登記事項証明書、直近の決算書、労働条件通知書、留学生の卒業証明書等の提出が求められます。

そのため、2018年12月に負担軽減策を講じることが決定され、2019年4月より、厚生労働省のユースエール認定企業が、在留資格「留学」「特定活動(就職活動)」の外国人材を採用する場合には、上記書類の提出が不要となりました。

 

◆採用活動を有利にするユースエール認定

2019年6月時点の認定企業は554社で、2年前と比較して2倍超に増えています。(1)ハローワークでの重点的なPR、(2)若者雇用促進総合サイトでの紹介、(3)認定企業限定就職面接会への参加、(4)対象助成金の助成額アップ、(5)日本政策金融公庫の低利融資、などのメリットに魅力を感じ、若年者層を採用したい企業で取得が進んでいるようです。

人手不足にお悩みの企業は、取得を検討してみてはいかがでしょうか?

職場におけるハラスメントの実態の連合調査から

連合は、国際労働機関(ILO)の総会で「仕事の世界における暴力とハラスメント」に関する条約案が採択されるよう、日本政府に条約案の支持と採択後の批准を求めていますが、このたび、職場や就職活動におけるハラスメントの実態を把握して条約の必要性をアピールするため、「仕事の世界におけるハラスメントに関する実態調査2019」をインターネットリサーチにより実施しました(対象は全国の20 歳~59 歳の有職者1,000 名)。その調査結果の一部を紹介します。

◆ハラスメントの有無

「職場でハラスメントを受けたことがある」と答えたのは全体の38%。決して少なくない数です。そして、そのうちの54%が「仕事のやる気がなくなった」と回答しています。また、22%が「心身に不調をきたした」、18.9%が「仕事を辞めた・変えた」と答えています。

◆ハラスメントの種類

「受けたことのあるハラスメントの内容」については、「脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言などの精神的攻撃」が最も多く41.1%、「業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害などの過大な要求」が25.9%等、パワーハラスメント(以下、パワハラ)に該当しうる行為を受けたという人が散見されました。「セクシャル・ハラスメント」(以下、セクハラ)は26.7%で、男性よりも女性のほうが高く、女性の約4割が受けたと答えています。

◆ハラスメントの相手

“上司”からのハラスメントで多いのは、「脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言などの精神的攻撃」が最も多く28.1%、“同僚”からのハラスメントは、「人間関係からの切り離し」が19.4%と最も高くなりました。また、“取引先”からのハラスメントでは、「セクハラ」が28.1%、“顧客”からのハラスメントでは、「精神的な攻撃」が23.3%で最も高くなりました。

◆ハラスメントを受けた時の相談相手

ハラスメントを受けた時、56%が誰かしらに相談していて、その相手として多いのが、「職場の上司・先輩」(23.7%)、「職場の同僚」(18.1%)、となっています。一方で、ハラスメントを受けたことのある人の半数近くが「誰にも相談しなかった」と回答していますが、その理由は、「相談しても無駄だと思ったから」が圧倒的の67.3%でした。

◆就職活動中におけるセクハラ

就職活動を行った人(835名)への就職活動中にセクハラを受けたことがあるかという質問に対しては、89.5%が「受けたことはない」との回答でした。「受けたことがある」10.5%のうちでは、20代男性が最も多く、5人に1人の割合であることがわかりました。

また、セクハラの内容としては、「性的な冗談やからかい」(39.8%)、「性的な事実関係(性体験など)の質問」(23.9%)、「食事やデートなどへの執拗な誘い」(20.5%)となっています。「性的な冗談やからかい」は、主に“人事担当者”から受け、「食事やデートへの執拗な誘い」や「性的な関係の強要」といったハラスメントは、“OB・OG”から受けたとの回答が目立ちました。

条約の行方はともかく、ハラスメントへの対策は、当事者が傷つくばかりではなく、企業イメージを損ね、採用や人材定着にも影響を与えるものです。企業にも一層の気遣いが求められるところです。

 

 

就職氷河期世代、ひきこもりの就業支援策

 

◆3年間で30万人を正規雇用に

政府は、6月下旬に閣議決定される「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」の原案に、30代半ばから40代半ばの就職氷河期世代を対象とした支援プログラムを設け、今後3年間で正規雇用者を30万人増やす数値目標を掲げることを盛り込みました。

支援プログラムは、バブル崩壊後の1993~2004年頃に大学や高校を卒業したいわゆる就職氷河期世代の非正規雇用者(少なくとも50万人)や、ひきこもり状態にある人を含めた約100万人を対象とし、これらの人たちの実態やニーズを明らかにし、必要な人に支援が届く体制を構築することを目指すとしています。

 

◆具体的な施策は?

骨太の方針の原案に盛り込まれた支援プログラムの具体的な施策としては、厚労省が5月にまとめた「就職氷河期世代活躍支援プラン」に、以下のような項目が掲げられています。

・人材紹介会社が教育訓練や職場実習等を行い、正規雇用につなげる事業の創設

・ハローワークに専門窓口を設置し、担当者によるチーム支援を実施

・建設業や運輸業等の業界団体を通じて短期間で資格等が習得できる訓練コースを創設

・「特定求職者雇用開発助成金(安定雇用実現コース)」の活用促進

 

◆地域ごとのプラットフォームの形成・活用

同プランでは、就職氷河期世代等の対象者の就職・社会参加を実現するために、自立相談支援機関や地域若者サポートステーション、ハローワーク、経済団体、ひきこもり家族会等が市町村レベルのプラットフォームを整備していき、支援の輪を広げていくとしています。また、関係省庁・経済団体との連携、地域ごとのプラットフォームの活用等のあらゆるルートに通じた戦略的な広報を展開していくとしています。

 

◆社会保険適用拡大も?

さらに、関連施策として、次期年金制度改正に向けて短時間労働者等へのさらなる適用拡大が検討されています。就職氷河期世代やひきこもり状態にある人の就労支援や職業的自立の促進等につながるため改正が期待されます。

【内閣府「就職氷河期世代支援プログラム関連参考資料(内閣府)」】

https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2019r/0611/shiryo_01.pdf

【厚生労働省「就職氷河期世代確約支援プラン」】

https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000513529.pdf

 

いよいよ発効する日中社会保障協定

 

◆9月1日から日中社会保障協定が発効に

「社会保障に関する日本国政府と中華人民共和国政府との間の協定(日・中社会保障協定)」の効力発生のための外交上の公文の交換が、5月16日に北京で行われました。これにより、令和元年9月1日から協定の効力が生ずることになります。

昨年5月に日中の間で署名が行われましたが、日本側では社会保障協定は条約に該当し、国会の承認を得ることを必要としたため、発効までに時間を要したものです。

 

◆社会保障協定はなぜ行われる?

社会保障協定は、①「保険料の二重負担」を防止するために加入するべき制度を二国間で調整する(二重加入の防止)、②保険料の掛け捨てとならないために、日本の年金加入期間を、協定を結んでいる国の年金制度に加入していた期間とみなして取り扱い、その国の年金を受給できるようにする(年金加入期間の通算)、ために締結しています(ただし、イギリス、韓国、イタリアおよび中国については、①の保険料の二重負担防止のみ)。

現在、日本は、ドイツ、イギリス、韓国、アメリカなど22カ国と協定を署名しており、うち19カ国は発効しています(署名済未発効の国:イタリア、中国、スウェーデン)。

 

◆日中社会保障協定の効果

これまで、日・中両国の企業等からそれぞれ相手国に一時的に派遣される被用者(企業駐在員等)等には、日・中両国で年金制度への加入が義務付けられていたため、年金保険料の二重払いの問題が生じていました。日中社会保障協定は、この問題を解決することを目的としており、この協定の規定により、派遣期間が5年以内の一時派遣被用者は、原則として、派遣元国の年金制度にのみ加入することとなります。要するに日本から中国に5年以内の期間を予定して派遣される人は、中国の年金制度に加入する義務は免除され、引き続き、国民年金または厚生年金に加入するということです。一方、中国から日本に同様に派遣されてくる人は、日本の年金制度への加入が免除され、引き続き、中国の年金制度に加入し続けることになるのです。

在中国在留邦人数(永住者を除く)は、121,095名(うち民間企業関係者(本人)70,135名)に上ります(平成29年10月現在)。協定が発効すれば、企業、駐在員等の負担が軽減されますし、さらに日本企業の競争力向上や日・中両国の人的交流が一層促進されることが期待されています。