2022年1月

コロナ禍で導入した制度を見直すのは今

 

◆時差出勤 変わらず15%程度

公益財団法人日本生産性本部が行った「第7回 働く人の意識調査」の結果によると、時差出勤をした人は15.1%(10月時点)となっています。2020年5月の初回調査でも16%でしたので、大きな変化は見られません。

コロナ禍における時差出勤は、人混みを避けることが大きな理由でしょう。日本ではコロナが沈静化傾向にあり、自社における効果を検証するにはよいタイミングかもしれません。

 

◆テレワーク浸透の一方…

また同調査では、テレワーク実施率は22.7%とのことです。様々な調査において「テレワークの効果があった」という回答がありますが、業務の効率が高まるというよりは、通勤のストレス・疲労がないことが一番大きな理由のようです。

一方で、社内のコミュニケーションや相談が困難・不便、長時間労働につながる、仕事と生活の境界があいまいになることによる過労など、テレワークのデメリットも指摘されはじめています。指示や相談が一度にできない、チャット等のツールを使うも個々の使い方や習熟度がバラバラで統率が取れない、全員で回していた仕事が一部の人の負担になってしまうなど、社員に聞けば改善すべき点もいろいろと出てくるでしょう。

 

◆見直すタイミングは今

コロナ禍で取組みを始めたさまざまな施策が、自社での業務効率として実際にはどうなのか、その効果や課題について一旦冷静に分析・判断すべきタイミングは、コロナが落ち着き、気持ち的にも来年に向かいつつある今なのではないでしょうか。

コロナ禍対応に限らず、会社の制度については、調整しながら運用することが重要です。一度導入したらそれきり、という事態は避けたいものです。

社員の働き方を管理する人の重要性はますます高まってきます。社員の意見を反映し、納得感を醸成しながら見直しを進めていきましょう。

【公益財団法人日本生産性本部「働く人の意識調査」】

https://www.jpc-net.jp/research/detail/005529.html

 

職場のハラスメント防止措置義務化への対応は進んでいますか?

 

◆4月から中小企業もパワハラ防止措置が義務化に

2020年6月1日にパワハラ防止法(改正労働施策総合推進法)が施行されました。中小企業については、2022年3月31日まではパワハラ防止措置は努力義務とされ、猶予期間が設けられていたところ、いよいよ2022年4月1日から義務化されます。

未対応という会社は、すぐにでも確認をしていきましょう。

 

◆パワハラ相談件数増加の企業が最多

一般社団法人日本経済団体連合会(経団連)が実施した「職場のハラスメント防止に関するアンケート結果」(調査期間2021年9月7日~10月15日、会員企業400社から回答)によれば、5年前と比較した相談件数として、パワーハラスメントに関する相談件数は、「増えた」が44.0%と最も多くなっています。増加の理由として、「法施行に伴う社会の関心の高まり、相談窓口の周知の強化」などが挙げられています。

すでに施行済みである大企業の会員が多い経団連ですが、今後中小企業でも同様のことが予想されます。

 

◆効果的な取組みの例

本調査によれば、ハラスメント防止・対応の課題について、特に当てはまる上位3つとして、「コミュニケーション不足」(63.8%)、「世代間ギャップ、価値観の違い」(55.8%)、「ハラスメントへの理解不足(管理職)」(45.3%)が挙げられています。これらへの効果的な取組み事例としては、ハラスメントに関する研修の実施、eラーニング実施、事案等の共有、コミュニケーションの活性化のための1on1ミーティングの実施、社内イベントの実施などが挙げられています。ぜひ参考にしてみてください。

【日本経済団体連合会「職場のハラスメント防止に関するアンケート結果」】

https://www.keidanren.or.jp/policy/2021/114.pdf

 

運転前後のアルコールチェックが義務化されます

 

一定台数以上の自動車を使用する事業所で選任する安全運転管理者には、運転前に、運転者が飲酒により正常な運転をすることができないおそれがあるかどうかを確認することが義務付けられています。しかし、運転後に酒気帯びの有無を確認することやその確認内容を記録することは義務付けられていませんでした。

今年6月に千葉県八街市で発生した交通死亡事故を受け、安全運転管理者の行うべき業務として、運転前後におけるアルコール検知器を用いた酒気帯びの有無の確認等が義務化されました。その内容は、令和4年4月1日施行と令和4年10月1日施行の2通りあります。

 

◆令和4年4月1日施行の義務

① 運転前後の運転者に対し、当該運転者の状態を目視等で確認することにより、運転者の酒気帯びの有無を確認すること。

② 酒気帯びの有無について記録し、記録を1年間保存すること。

「目視等で確認」とは、運転者の顔色、呼気の臭い、応答の声の調子等で確認することをいいます。運転者の酒気帯び確認の方法は対面が原則ですが、直行直帰の場合など対面での確認が困難な場合にはこれに準ずる適宜の方法で実施すればよいとされています。

 

◆令和4年10月1日施行の義務

① 運転者の酒気帯びの有無の確認をアルコール検知器を用いて行うこと。

② アルコール検知器を常時有効に保持すること。

アルコール検知器については、酒気帯びの有無を音、色、数値等により確認できるものであれば足り、特段の性能上の要件は問わないものとされています。また、アルコール検知器は、アルコールを検知して、原動機が始動できないようにする機能を有するものが含まれます。

【警察庁「安全運転管理者の業務の拡充についてポスター及びリーフレットを掲載しました。」】

https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/insyu/img/ankanleaflet.pdf

 

いまどき就活生の意識の変化と企業選びのこだわりとは?

 

◆就活生の意識の変化

長期化するコロナ禍で、学生の就職意識はどのように変化しているのでしょうか。

就職情報大手のディスコの調査によると、2021年10月1日の正式内定解禁日における2022年卒の学生の内定率は、前年(88.6%)よりはわずかに下回るものの、88.4%でした。同社の2023年卒学生に向けたモニター調査では、1学年上の先輩(2022年卒)と比較して、就職戦線をどう見ているかという質問に対して、「非常に厳しくなる」7.1%、「やや厳しくなる」44.0%と、厳しくなると答えた学生は 51.1%で、前年同期調査(計 93.7%)よりも大幅に減少しています。一方で、「やや楽になる」が急増し(6.0%→48.8%)、「厳しくなる」と見ている学生と、「楽になる」と見る学生がほぼ半々で、見方が分かれています。

 

◆企業選びのこだわり

学生からよく挙がる5項目(社風・人/仕事内容/給与・待遇/勤務地/企業規模)へのこだわり度合いについては、最も「強くこだわる」のが「社風・人」(57.5%)で、「ややこだわる」(34.5%)をあわせると 9 割(計 92.0%)を超えています。「仕事内容」も9割超(計 91.3%)、次いで「給与・待遇」が計86.4%、「勤務地」が計68.6%、「企業規模」は計56.6%となっています。

つまり、「どこでどれだけのことをしてくれるのか(待遇)」よりも、自発的に「どんな会社(環境)で何がしたいか」を重要視する学生が多いということがうかがえます。

【株式会社ディスコ「23卒学生の11月後半時点の就職意識調査」】

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000570.000003965.html