2023年8月

シニア採用の現状と課題

 

マイナビが行った、非正規雇用の採用業務に携わった人を対象とした調査(2023年)の結果によると、人手不足を背景に、非正規雇用のシニア(65歳以上)の採用について、警備、介護、ドライバーといった業種で採用実績が高いようです。

○警備 89.4%(前年比1.2ポイント増加)

○介護 79.6%(前年比2.5ポイント増加)

○ドライバー 78.6%(前年比6.9ポイント増加)

 

◆シニアを採用する理由、採用したくない理由

この調査で、シニア採用をしている、または採用意向があると回答した人の「シニアを採用したい理由」としては、「人手不足の解消・改善に繋がるから」(51.2%)、「専門性が高い・経験が豊富」(37.1%)、「これまで採用したシニアが優秀だったから」(25.4%)といった回答が上位に挙がっています。

一方、シニアを採用したくない理由として、「体力や健康面に不安がある」(53.7%)という回答もあります。

これらを踏まえて既存の業務の見直しなどを行い、シニア採用を実施すれば、シニアのみならず今後の多用な人材の採用活動や、いったん退職した人の再雇用などの場面にも良い影響を与えるでしょう。

 

◆今後の課題

人手が不足している企業では、シニアの採用が今後いっそう検討すべき課題となります。一方で、今いる中堅社員の介護離職を防止する、「多様な働き方」に対応して自社の魅力アップにつなげるなどの取組みも重要となってきます。介護離職の防止に関しては、来年にも法改正が行われる見込みですので、今後の情報に留意しておきましょう。

【マイナビ「非正規雇用の外国人・シニア採用に関する企業調査(2023年)」】

https://career-research.mynavi.jp/reserch/20230628_53546/

 

 

永年勤続表彰金の社会保険、労働保険および課税上の取扱い
 
◆社会保険上の取扱い

今年6月27日に、「標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱いに関する事例集」に以下の問答が追加されました。

問 事業主が長期勤続者に対して支給する金銭、金券又は記念品等(以下「永年勤続表彰金」という。)は、「報酬等」に含まれるか。

答 永年勤続表彰金については、企業により様々な形態で支給されるため、その取扱いについては、名称等で判断するのではなく、その内容に基づき判断を行う必要があるが、少なくとも以下の要件を全て満たすような支給形態であれば、恩恵的に支給されるものとして、原則として「報酬等」に該当しない。

ただし、当該要件を一つでも満たさないことをもって、直ちに「報酬等」と判断するのではなく、事業所に対し、当該永年勤続表彰金の性質について十分確認した上で、総合的に判断すること。

【永年勤続表彰金における判断要件】

① 表彰の目的

企業の福利厚生施策又は長期勤続の奨励策として実施するもの。なお、支給に併せてリフレッシュ休暇が付与されるような場合は、より福利厚生としての側面が強いと判断される。

② 表彰の基準

勤続年数のみを要件として一律に支給されるもの。

③ 支給の形態

社会通念上いわゆるお祝い金の範囲を超えていないものであって、表彰の間隔が概ね5年以上のもの。

 

◆労働保険上の取扱い

行政手引50502によると、「勤続年数に応じて支給される勤続褒賞金は、一般的には、賃金とは認められない。」とされています。

 

◆課税上の取扱い

国税庁のタックスアンサーNo.2591によると、創業記念で支給する記念品や永年にわたって勤務している人の表彰に当たって支給する記念品などは、一定の要件を満たしていれば、給与として課税しなくてもよいことになっています。

ただし、記念品の支給や旅行や観劇への招待費用の負担に代えて現金、商品券などを支給する場合には、その全額(商品券の場合は券面額)が給与として課税されます。

【厚生労働省「「標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱いに関する事例集」の一部改正について」(令和5年6月27日事務連絡)】

https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T230629T0010.pdf

 

 

精神障害に関する労災補償状況
~厚労省 令和4年度「過労死等の労災補償状況」より

 

◆令和4年度の精神障害の労災請求件数、支給決定件数は過去最多

厚生労働省が公表した令和4年度「過労死等の労災補償状況」によれば、仕事による強いストレスが原因で発病した精神障害の状況について、労災請求件数は2,683件で前年度比337件の増加、支給決定件数は710件で前年度比81件の増加となっています。

この数はいずれも統計開始から過去最多となっています。

 

◆業種別では医療・福祉、年齢別では40~49歳が最多

業種別では、医療・福祉(請求624件、支給決定164件)が最多となっており、次いで製造業(請求392件、支給決定104件)、卸売業・小売業(請求383件、支給決定100件)が続いています。

また、年齢別では、請求件数、支給決定件数いずれも40~49歳が最多となっています。

 

◆出来事の類型ではパワハラが最多

支給決定件数の出来事の類型別では「パワーハラスメント」が147件で最多となっています。その他、「同僚等から、暴行又は(ひどい)いじめ・嫌がらせを受けた」や「セクシュアルハラスメント」などハラスメント関連の類型によるものが目立ち、ハラスメントに関する問題は影響が大きいことがわかります。

 

◆労災認定基準の改正も

精神障害の労災認定基準については、業務による心理的負荷評価表の見直し(具体的出来事にいわゆるカスタマーハラスメントが追加等)がされるなど、近く改正予定となっています。引き続き職場のハラスメント対応やメンタルヘルス対応については気をつけていきたいところです。

【厚生労働省「令和4年度「過労死等の労災補償状況」精神障害の労災補償状況」】

https://www.mhlw.go.jp/content/11402000/001113802.pdf

 

 

「建設工事従事者の安全及び健康の確保に関する基本計画」が変更されました

 

「建設工事従事者の安全及び健康の確保に関する基本的な計画」は、「建設工事従事者の安全及び健康の確保の推進に関する法律(「建設職人基本法」)」に基づき、少なくとも5年ごとに検討を加え、変更しなければならないとされています。今年6月変更の主な内容は以下の通りです。

 

1 安全衛生経費に関する記載の充実

安全衛生対策項目の確認表、安全衛生経費を内訳明示するための標準見積書の作成・普及/発注者、建設業者及び国民一般に対する安全衛生経費の戦略的広報の実施

2 一人親方に関する記載の充実

一人親方との取引の適正化等の周知

3 建設工事の現場の安全性の点検等に関する記載の充実

建設機械施工の自動化・遠隔化やロボットの活用等インフラ分野のDXにおいて、安全な工法等の研究開発・普及

4 建設工事従事者の処遇の改善及び地位の向上に関する記載の充実

新・担い手3法や労働基準法を踏まえた「働き方改革」の推進、処遇の改善、インフラ分野のDXの推進/職業訓練の実施による事業主への支援等

5 墜落・転落災害の防止対策の充実強化に関する記載の充実

屋根・屋上等の端、低所(はしご・脚立)からの墜落・転落災害防止対策のためのマニュアルの作成・普及/足場点検の確実な実施のための措置の充実、一側足場の使用範囲の明確化/足場の組立・解体中の墜落・転落防止対策の充実強化

6 健康確保対策の強化に関する記載の追記

熱中症、騒音による健康障害防止対策/解体・改修工事における石綿ばく露防止対策等/新興・再興感染症への対応

7 人材の多様化に対応した建設現場の安全健康確保、職場環境改善に関する記載の追記

女性の活躍促進のための取組み/増加する外国人労働者の労働災害への対応方法等/高年齢労働者の安全と健康の確保につながる取組み

 

働き方改革の推進や労災の防止については、当事務所がサポートできる面も多くあるかと思います。課題を共有し、対策を進めましょう。

【厚生労働省「建設工事従事者の安全及び健康の確保に関する基本的な計画」が変更されました】

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_33559.html