2024年3月

2024年10月からの社会保険適用拡大に関するQ&Aが公開されました

所定労働時間または所定労働日数が通常の労働者(正社員)の4分の3に満たない短時間労働者でも、①1週の所定労働時間が20時間以上であること、②所定内賃金が月額8.8万円以上であること、③学生でないこと、④特定適用事業所に使用されていること、という要件を満たせば、健康保険と厚生年金保険の被保険者になります。
今年の10月から、④の特定適用事業所の企業規模要件が、使用される厚生年金保険の被保険者の総数が常時100人を超える企業から常時50人を超える企業に拡大されるため、厚生労働省によるQ&Aが公開されました。関係のある方は、下記をご確認ください。

◆問9 「被保険者の総数が常時50人を超える」とは、どのような状態を指すのか。どの時点で常時50人を超えると判断することになるのか。

(答)「被保険者の総数が常時50人を超える」とは、①法人事業所の場合は、同一の法人番号を有する全ての適用事業所に使用される厚生年金保険の被保険者の総数が12か月のうち、6か月以上50人を超えることが見込まれる場合を指します。②個人事業所の場合は、適用事業所ごとに使用される厚生年金保険の被保険者の総数が12か月のうち、6か月以上50人を超えることが見込まれる場合を指します。

◆問10 特定適用事業所に該当した適用事業所は、どのような手続が必要になってくるか。

(答)特定適用事業所に該当した場合は、①法人事業所の場合は、同一の法人番号を有する全ての適用事業所を代表する本店又は主たる事業所から、事務センター等へ特定適用事業所該当届を届け出ることになります(健康保険組合が管掌する健康保険の特定適用事業所該当届については、健康保険組合へ届け出ることになります。)。②個人事業所の場合は、各適用事業所から、事務センター等へ特定適用事業所該当届を届け出ることになります(健康保険組合が管掌する健康保険の特定適用事業所該当届については、健康保険組合へ届け出ることになります。)。

【厚生労働省「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大Q&A集(令和6年10月施行分))】
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T240124T0010.pdf

 

「令和6年分所得税の定額減税」の特設サイトが開設されました

 

 「令和6年度税制改正大綱」(令和5年12月22日閣議決定)で、岸田内閣が先に掲げた、令和6年分の所得税額から一定額が控除される定額減税が盛り込まれました。法案が成立すれば、給与所得者については令和6年6月1日以後最初に支払う給与等についての源泉徴収を行う際から実施されることになります。金額は、1人あたり3万円、同一生計配偶者および扶養親族がいる場合は1人につき3万円の合計額です。

 

◆定額減税特設サイト

 法案成立前でも、給与計算担当者(源泉徴収義務者)が早期に準備に着手できるよう、国税庁は特設サイトを設け、1月30日に各種パンフレット・資料等を、そして2月5日にQ&Aを公表しました。

 

◆「令和6年分所得税の定額減税のしかた」

パンフレットは、1.定額現在の概要、2.給与の支払者の事務のあらまし、3.月次減税事務の手順、4.年調減税事務の手順、5.源泉徴収票への表示について、全16頁で解説されています。

 

◆「令和6年分所得税の定額減税Q&A」

Q&Aは、制度の概要、対象者の選定、月次減額の方法、年調減税の方法、源泉徴収票・給与支払明細書等への記載方法等、全23頁、計59のQ&Aから構成されています。

 

今回の定額減税は、給与計算実務に直接の影響がある内容ですので、資料やQ&Aを参考に、あらかじめ手順を確認しておくとよいでしょう。

【国税庁「定額減税 特設サイト」】

https://www.nta.go.jp/users/gensen/teigakugenzei/index.htm

【同「令和6年分所得税の定額減税のしかた」】

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/0023012-317.pdf

【同「令和6年分所得税の定額減税Q&A」】

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/0024001-021.pdf

 

外国人労働者数が初の200万人超え~厚生労働省のまとめより

 

厚生労働省は1月26日、令和5年10月末時点の外国人雇用についての届出状況の取りまとめを公表しました。

国内で働く外国人は昨年10月末時点で前年と比べ12.4%増えて、204万8,675人に上り、平成25年から11年連続で過去最多を更新しました。外国人労働者の増加率はコロナ禍前の水準にまで回復しています。また、比較可能な平成20年以降、200万人を超えるのは初めてです。

 

◆外国人労働者数は過去最高を更新

外国人労働者数は204万8,675人で、前年比で22万5,950人増加し、届出が義務化された平成19年以降、過去最高を更新しました。対前年増加率は12.4%と、前年の5.5%から6.9ポイント上昇しています。

 

◆外国人を雇用する事業所数も過去最高を更新

外国人を雇用する事業所数は31万8,775所で、前年比1万9,985所増加し、届出の義務化以降、こちらも過去最高を更新しています。対前年増加率は6.7%と、前年の4.8%から1.9 ポイントの上昇でした。

 

◆国籍別では、ベトナムが昨年同様に最多

国籍別では、ベトナムが最も多く51万8,364人で、外国人労働者数全体の25.3%を占めています。次いで中国39万7,918人(全体の19.4%)、フィリピン22万6,846人(全体の11.1%)の順となっています。

対前年増加率が高かったのは、インドネシア(56.0%増)、次いでミャンマー(49.9%増)、ネパール(23.2%増)の順となっています。

 

◆在留資格別では、「専門的・技術的分野の在留資格」が前年比最多の増加率

在留資格別では、「専門的・技術的分野の在留資格」が対前年増加率として最も大きく59万5,904人で、前年比11万5,955人(24.2%)の増加、次いで「技能実習」が41万2,501人で、前年比6万9,247人(20.2%)増加、「資格外活動」が35万2,581人で、前年比2万1,671人(6.5%)の増加でした。

【厚生労働省「「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和5年10月末時点)」】

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_37084.html

 

約9割が建設技能労働者の賃金を引上げ
~令和5年度下請取引等実態調査より

 

◆建設工事における下請取引等の実態を調査

国土交通省では、毎年、建設工事における下請取引等の実態調査を行い、下請代金の決定方法や工期の設定、技能労働者への賃金支払状況等の項目における建設業法令違反行為の有無を調べ、違反行為を行っている建設業者に対して指導を実施しています。1月31日に公表された令和5年度調査では、9,136業者が集計対象となっています。

 

◆約9割が建設技能労働者の賃金を引上げ

 令和5年度調査結果によると、賃金水準を引き上げた、あるいは引き上げる予定があると回答した建設業者は89.6%と、昨年度の84.2%よりアップしました。賃金水準を引き上げた理由としては、「周りの実勢価格が上がっており、引き上げなければ必要な労働者が確保できないため」が55.9%で最多となっています。引き上げないと回答した理由としては、「経営の先行きが不透明で引き上げに踏み切れない」が46.2%で最多となっています。

 

◆見積書の項目に問題のある例も

 一方、下請負人に対し、法定福利費の内訳を明示した見積書の交付を働きかけている元請負人は69.3%、労務費の内訳を明示した見積書の交付を働きかけている元請負人は65.2%にとどまりました。また、元請負人に対し、法定福利費の内訳を明示した見積書を交付している下請負人は77.6%、労務費の内訳を明示した見積書を交付している下請負人は68.3%でした。

調査の結果、建設業法に基づく指導を行う必要があると認められた建設業者には指導票が送付され、指導が行われます。また、必要に応じて立入検査等も実施されます。

【国土交通省「令和5年度下請取引等実態調査の実施について」】

https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000190.html