2015年11月号

「番号法」が施行! マイナンバーに関する最新情報

 

◆ついに「番号法」が施行

10月5日に「番号法(マイナンバー法)」が施行されましたが、施行と前後して各省庁などからマイナンバーに関する最新情報が出されています。

 ◆本人に交付する源泉徴収票や支払通知書等への個人番号の記載について(10/2)

所得税法施行規則等が改正され、「本人に交付する源泉徴収票や支払通知書等には個人番号の記載が必要ないこと」が明らかになりました。これは、本人交付が義務付けられている源泉徴収票などに個人番号を記載することにより、その交付の際に個人情報の漏えいや滅失等の防止のための措置を講ずる必要が生じ、従来よりもコストを要することになることや郵便事故等による情報流出のリスクが高まるといった声に配慮したものです。

 

◆個人番号の提供を拒否された場合の対応について(10/5)

特定個人情報保護委員会が公表している「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)」に関するQ&Aが最新版に更新され、「個人番号の提供を拒否された場合の対応」が明らかになりました。これによると、法定調書作成などに際し従業員から個人番号の提供を受けられない場合でも、安易に個人番号を記載しないで書類を提出せず、個人番号の記載は法律で定められた義務であることを伝え、提供を求める必要があります。それでもなお提供を受けられない場合は、提供を求めた経過等を記録・保存するなどし、単なる義務違反でないことを明確にしておかなければなりません。経過等の記録がないと、個人番号の提供を受けていないのか、あるいは提供を受けたのに紛失したのかが判別できないためです。

 

◆年金機構に添付書類として提出する住民票について(10/7)。

日本年金機構がマイナンバーに関する文書(日本年金機構に提出する住民票についてのお願い)を公開し、年金請求時などに必要な書類(添付書類)として住民票を同機構に提出する場合には「個人番号(マイナンバー)が記載されていない住民票を提出する必要があること」が明らかになりました。これは、一連の「不正アクセスによる情報流出事案」の影響により、当分の間、同機構においては個人番号(マイナンバー)の利用ができなくなっているためです。

荷主側の協力も求められている! 押さえておきたい物流業界の現状

 

◆運賃値上げの機運が高まっている

「運賃、高くなったなあ…」、製品を出荷するたびに、そんなふうに感じている事業者の方も多いのではないでしょうか。現在、一部の物流大手では運賃の値上げに踏み切っています。まだ業界の一部の動きではありますが、物流業界全体で運賃値上げの機運が高まっているとの指摘もあり、今後、中小・零細企業がこれに追随することも十分考えられます。

 

◆物流業界の人材不足が1つの要因

物流という観点から日本経済を下支えしているトラック運送業界では、人材不足が深刻です。積荷の量が増え、その荷を運ぶためのトラックの用意はできていても、運転するドライバーの数が足りないという運送業者が増えています。物流業界は「長時間労働・低賃金」というイメージが先行しており、なかなかなり手もいないのが現状です。そのような中でトライバーを確保するためには、労働環境を整備することも求められることとなり、これが運賃の値上げに跳ね返っているという面もあります。

 

◆国も荷主へ協力依頼

平成27年5月には、厚生労働省・国土交通省共催で、取引環境の改善および長時間労働の抑制を実現するための具体的な環境整備等を図ることを目的として「トラック輸送における取引環境・労働時間改善中央協議会」が開催されました。この協議会では、平成31年4月までにトラック輸送における長時間労働の抑制に向けて、全国でトラック運送事業における長時間労働の実態調査を実施するなど、今後も議論を進めることとしています。長時間労働の是正も賃金の引上げも、荷主側の協力がなければ果たすことができません。この点、協議会には大手荷主も参加しており、今後は協力が求められる部分が増えることとなりそうです。

 

調査結果にみる60代従業員の雇用状況と就業意欲

 

60代になっても働いている人が増加

高齢者の活用ということについて、改めて注目されるようになっています。60代を対象にした仕事や生活の実態、意識などに関する調査(独立行政法人労働政策研究・研修機構、平成26年実施)の結果によると、次のようなことが明らかになりました。

 

◆就業状況

60代の就業状況は、前回(平成21年)の調査と比較すると、次のようになっています。

6569歳の層で定年後継続雇用の割合が上昇(17.2%→24.0%)

・定年直後に無業であった割合が低下(6064歳層:18.2%→13.0%/6569歳層:28.4%→18.4%)

・定年経験者が60歳台後半で引退している割合が低下(28.3%→24.5%)

・定年を経験していない人においても6569歳の層で55歳時と同じ会社で勤務している割合が上昇(6.1%→10.8%)

 

◆高い就業意欲

60代の仕事についていない方のうち26.0%が就業を希望しているようです。

60代前半層の不就業者(男性)では、42.9%が就業を希望しており、就業を希望している60代の高年齢者が多数存在していることが明らかになっています。

 

◆定年後雇用継続における仕事と賃金

定年到達後の仕事内容の変化については、「変わっていない」49.0%(継続雇用者50.7%)とする回答が最も多い一方、定年後の賃金額については、「減少した」41.9%(継続雇用者80.3%)が最も多く、その減少幅は「4150%」19.1%(継続雇用者24.2%)が最も多くなっています。賃金が下がったことについては、是認派(しかたがない・やむを得ない)と否認派(おかしい・下がりすぎだ)の割合はほぼ同じとなっています

 

◆高齢者の賃金制度

将来的に日本の労働力人口は減少していきます。

高年齢者に納得して働いてもらうためには、高年齢者の賃金制度のあり方を再検討すべき時期に来ているのではないでしょうか。

 

 

「介護離職ゼロ」を目指す政府の方針とは?

 

◆「介護離職ゼロ」とは?

安倍首相は、「介護離職ゼロを目指し、介護施設の整備、介護人材の育成を進め、仕事と介護が両立できる社会福祉を本格的に進めたい」と自民党総裁選で公約を掲げました。

ここでいう「介護離職ゼロ」とは、親や親族の介護をするために退職する人をゼロにしようという意味です。

現在、介護離職者は年間10万人を越え、4050代の社員に急増しており、男性の介護参加率も高まっています。そのため、仕事と介護を両立できる制度を導入し、介護離職防止策に取り組む企業も増えています。

 

◆制度見直しに向けた動き

厚生労働省は育児・介護休業法を改正し、介護休業制度の見直しを進める考えです。

現在の介護休業制度では、親などの介護が必要となった際に、原則1回最長93日のまとまった休みを取ることができますが、分割して取得ができるにする方針です。

同省はこのほか、1日単位で休める介護休暇を延長したり、半日単位で取得できるようにしたりする、介護を終えるまで当事者の残業免除を企業に義務付けることなども併せて検討しています。すでに今年9月から労働政策審議会で見直しの議論をスタートさせており、年内に議論をまとめ、2017年にも施行したい考えのようです。

 

◆特養増設には課題も

一方、政府は、特別養護老人ホーム(特養)の増設・整備にも力を入れる方針ですが、人材確保など多くの課題もあります。特養への入所待機者は、2013年度で全国に52万人いるとされており、特養の増設によって15万人の入所待機者の解消を目標としています。しかし、特養を増設するためには、そこで働く職員の確保が大きな問題として挙がってきます。

今後ますます深刻化する高齢化社会、政府は「介護離職防止」と「介護職員確保」のどちらにも目を向けて対策に取り組まなければなりません。