令和7年4月保育所入所申込み分就労証明書記載の留意点
◆「落選ねらい」問題に対応
9月30日に就労証明書の新様式が定められ、10月1日より申込み受付が順次開始されています。
保育所の4月入所申込みについては、育児休業を延長する目的で競争率の高いところに申し込んだりする「落選ねらい」が問題視され、対応が求められていました。
◆様式の変更点
新様式では、次の5つの記載欄が追加されました。
① 入所内定時育休短縮可否
② 育休延長可否
③ 単身赴任期間(予定を含む)
④ 備考欄
⑤ 保護者記載欄(児童名、生年月日、施設名、利用・申込み状況に関するチェック欄)
また、自治体によっては夜勤に関する状況を別紙で提出することができ、就労証明書と同様に企業に記載を求めているところもあります。
◆育児休業給付金の支給期間延長の要件と手続きも見直し
上記の「落選ねらい」対策として、令和7年4月1日からは育児休業給付金の支給期間の延長手続きも見直され、従業員が記載する申告書と保育所等の利用申込書の写しも、ハローワークに提出することとなります。
また、支給要件として、市区町村に申し込んだ内容が、速やかな職場復帰のために保育所等における保育の利用を希望しているものであると公共職業安定所長が認めるものであることも、必要となります。
令和7年4月1日以後に育児休業に係る子が1歳に達する場合または1歳6カ月に達する場合に適用されますので、該当する育児休業取得者に案内しておくとよいでしょう。
【官報(令和6年9月30日号外第227号)「子ども・子育て支援法施行規則の一部を改正する内閣府令(令和6年内閣府令第84号)」】
https://kanpou.npb.go.jp/20240930/20240930g00227/20240930g002270004f.html
【雇用保険法施行規則の一部を改正する省令(令和6年厚生労働省令第47号)】
https://laws.e-gov.go.jp/law/350M50002000003/20250401_506M60000100047?tab=compare
11月1日から自転車の危険運転に罰則が科されます
◆道路交通法の改正
令和6年11月1日より、自転車の「運転中のながらスマホ」と「酒気帯び運転および幇助」に対して、新しく罰則が適用されます。
◆運転中のながらスマホ
自転車に乗りながら、スマートフォン等を手で保持して通話したり、画面を注視したりする行為が新たに禁止され、罰則の対象になります。
・違反者は、6か月以下の懲役または10万円以下の罰金
・交通の危険を生じさせた場合は、1年以下の懲役または30万円以下の罰金
◆酒気帯び運転および幇助
酒気帯び運転のほか、酒類の提供や同乗・自転車の提供に対して新たに罰則が適用されます。
・違反者は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金
・自転車の提供者は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金
・酒類の提供者・同乗者は、2年以下の懲役または30万円以下の罰金
◆自転車運転者講習制度
上記は、「自転車運転者講習制度」の対象となります。また、交通の危険を生じさせるおそれのある一定の自転車運転の危険行為(信号無視や指定場所一時不停止、通行区分違反や安全運転義務違反等)を反復して行った者も講習制度の対象となります。
*受講命令違反は、5万円以下の罰金
免許なしで誰でも乗れる自転車だからこそ、従業員が通勤や業務で自転車を使用する場合、十分に注意するよう喚起しましょう。
【警察庁「自転車の危険な運転に新しく罰則が整備されました」】
https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/law/R6poster/R6_leaflet_jitensya_b.pdf
児童手当制度が変わりました
◆児童手当の変更
令和6年10月1日から児童手当制度が改正されています。今回の改正は、子育て支援の強化を目的としており、子どもを育てる従業員の生活に密接に関わるものです。改正のポイントを押さえ、育児と仕事の両立支援に活かしていきましょう。
◆改正のポイント
1. 支給対象の拡大
これまで児童手当は中学生までが対象でしたが、令和6年10月1日からは高校生年代(18歳に達する日以後の最初の3月31日まで)も支給対象となりました。
2. 所得制限の撤廃
従来の児童手当には所得制限がありましたが、これが撤廃されました。
3. 支給額の増額
第3子以降の児童に対する支給額が月額30,000円に増額されました。なお、カウント方法は、22歳年度末までの上の子について、親等の経済的負担がある場合をカウント対象とすることとなりました。
4. 支給時期の変更
児童手当の支給時期が年3回から隔月(偶数月)の年6回に変更されました。
5. 申請手続の注意点
今回の改正により新たに児童手当の支給対象となる方は、令和7年3月31日までに市区町村へ申請を行うことで、令和6年10月分からの児童手当を受給することができます。申請を忘れたり遅れたりすることのないよう、今回の改正についてお知らせするとともに、早めの手続きを呼びかけるとよいですね。
【こども家庭庁「もっと子育て応援!児童手当」】
https://www.cfa.go.jp/policies/kokoseido/jidouteate/mottoouen
10月からの厚生労働省関係の主な制度変更
厚生労働省は、令和6年10月から適用されている制度変更のうち主要なものをまとめ、webページに掲載しています。
◆被用者保険(厚生年金保険・健康保険)の適用拡大
短時間労働者への被用者保険の適用について、企業規模要件が引き下げられ、現在の従業員数100人超から50人超となります。
賃金要件(月額8.8万円以上)、労働時間要件(週労働時間20時間以上)、学生除外要件については現行のままとし、勤務期間要件(現行1年以上)については実務上の取扱いの現状も踏まえて撤廃し、フルタイムの被保険者と同様の2か月超の要件を適用することとします。
◆労働関係 最低賃金額の改定
都道府県ごとに定められている地域別最低賃金が改定されます。時間額にして50円から84円の引上げで、最も時間額が高いのは東京都の1,163円、最も低いのは秋田県の951円となりました。
全国加重平均は1,004円から1,055円へ上昇します。51円の引上げは、昭和53年度に目安制度が始まって以降で最高額です。
◆雇用関係 教育訓練給付の拡充
専門実践教育訓練給付金について、教育訓練の受講後に賃金が上昇した場合、現行の追加給付に加えて、さらに受講費用の10%(合計80%)を追加で支給します。
特定一般教育訓練給付金について、資格取得し、就職等した場合、受講費用の10%(合計50%)を追加で支給します。
対象となるのは、雇用保険被保険者および離職後1年以内の雇用保険被保険者だった者です。
被用者にかかる手続きや賃金に関わる重要な変更が重なっています。十分な説明を行い、必要に応じて社内規程を見直すなど、従業員に周知しましょう。
【厚生労働省関係の主な制度変更(令和6年10月)について】