従業員の「資格確認書」が会社宛に届いた場合の対応
◆「資格確認書」とは
令和6年12月2日以降、従来の健康保険証が新たに発行されなくなり、マイナ保険証を基本とする仕組みに移行しています。
しかしながら、令和7年5月のマイナ保険証を利用した人の割合は43.1%(推計値)と半数に届かず、マイナ保険証の利用登録解除を申請する人もいる(6月の受付件数は12,263件)ため、マイナ保険証を保有していない人(マイナカードの電子証明書の有効期限切れの人も含む)すべてに、従来の健康保険証の有効期限内に「資格確認書」が申請によらず無償で交付されます。
この資格確認書は、マイナ保険証を使わずに医療機関等で保険診療を受けるために必要となる書面です。
◆送付対象者の自宅へ送付
協会けんぽでは、令和7年7月下旬より順次、令和7年12月2日以降にマイナ保険証にて保険診療が受けられない人の資格確認書を、被保険者の自宅へと送付しています。
また、送付対象者がいる事業所に対して、送付対象者が掲載された一覧表を送付しています。
◆対象者宅に届かなかった場合は会社宛に送付
協会けんぽの発送した資格確認書が、被保険者の転居等により宛先不明となって届かない場合もあることから、その場合は会社宛に送付するとされており、届いた場合は速やかに本人に配付してほしいとされています。
なお、これらの対応は令和7年4月30日時点の情報に基づき行われているため、既に退職等により資格喪失している人について、一覧表に掲載されていたり資格確認書が届いたりする可能性があります。
【厚生労働省「中医協資料;医療DX推進体制整備加算等の要件の見直しについて」】
https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001521280.pdf
【厚生労働省「マイナンバーカードの健康保険証利用について」】
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08277.html
【全国健康保険協会「お知らせ(令和7年8月)】
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g1/r7-8/7080501/
「19歳以上23歳未満の被扶養者に係る認定について」の通達が公表されました
令和7年度税制改正において、特定扶養控除の要件の見直しおよび特定親族特別控除の創設が行われたことを踏まえ、健康保険法の被扶養者の認定対象者が19歳以上23歳未満である場合における取扱いについて、通達が公表されました。
◆認定対象者が19歳以上23歳未満である場合における取扱い
認定対象者の年間収入に係る認定要件のうち、その額を130万円未満とするものについて、当該認定対象者(被保険者の配偶者を除く。)が19歳以上23歳未満である場合にあっては150万円未満として取り扱うこと。
なお、当該認定対象者の年間収入の額に係る認定要件以外の取扱いについては、昭和52年通知と同じとすることとされています。
※昭和52年通知の内容
1.認定対象者」が被保険者と同一世帯に属している場合
(1) 認定対象者の年間収入が130万円未満(60歳以上または一定の障害者は180万円未満)、かつ、被保険者の年間収入の二分の一未満である場合
(2) (1)の条件に該当しない場合であっても、認定対象者の年間収入が130万円未満(60歳以上または一定の障害者は180万円未満)、かつ、被保険者の年間収入を上まわっておらず、被保険者がその世帯の生計維持の中心的役割を果たしていると認められるとき
2.認定対象者が被保険者と同一世帯に属していない場合
認定対象者の年間収入が、130万円未満(60歳以上または一定の障害者は180万円未満)、かつ、被保険者からの援助による収入額より少ない場合
◆船員保険法の被扶養者の認定について
上記に準じて取り扱うものとされています。
◆施行日
令和7年10月1日
大学生が扶養から外れないようにする就業調整をしていることを受け、人手不足解消の観点から、認定にかかる年間収入の要件を緩和したものです。
大学生の子を扶養する被保険者がいる場合は、必ず押さえておきましょう。
【厚生労働省「19歳以上23歳未満の被扶養者に係る認定について」】
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T250724S0010.pdf
独禁法上の問題につながるおそれのある荷主の行為
公正取引委員会では、荷主と物流事業者との取引の公正化に向けた調査を継続的に行っています。令和6年度の調査結果報告によると、現下の労務費、原材料価格、エネルギーコスト等のコスト上昇分の取引価格への反映の必要性について協議をすることなく取引価格を据え置く行為等が疑われる事案に関して、荷主100名に対する立入調査を行ったとしています。また、調査の結果を踏まえ、独占禁止法上の問題につながるおそれのある行為を行った荷主(646名)に対して注意喚起文書を送付しています。以下、問題につながるおそれのある行為として挙がった主な事例を紹介します。
◆不当な給付内容の変更およびやり直し
荷主(飲食料品卸売業)は、物流事業者に対し、定期便として発注した運送業務を集配送当日にキャンセルしたが、そのような突然のキャンセルに伴い物流事業者が負担した車両の手配に要した費用を支払わなかった。
◆代金の支払遅延
荷主(飲食料品小売業)は、物流事業者に対し、自社の事務処理が間に合わないことを理由に、あらかじめ定めた支払期日を超過して運賃を支払った。
◆買いたたき
注意喚起文書を送付した荷主の行為類型別内訳で、96件、割合12.9%。
具体的事例:荷主(機械器具卸売業)は、物流事業者から、それまで無償で提供させていた附帯業務の料金が上乗せされた見積書を受け取ったにもかかわらず、理由を一切説明することなく、運賃を一方的に据え置いた。
◆不当な経済上の利益の提供要請
荷主(その他の卸売業)は、物流事業者に対し、契約では、運送の委託しかしていないにもかかわらず、運送した荷物の荷卸し、検品及び棚入れを無償で行わせた。
◆代金の減額
荷主(物品賃貸業)は、物流事業者に対し、理由を一切説明することなく、あらかじめ定めた運賃を一方的に減額して支払った。
◆割引困難な手形の交付
荷主(機械器具卸売業)は、物流事業者に対し、運賃として手形期間150日の約束手形を交付した。
◆物の購入強制・役務の利用強制
荷主(家具・装備品製造業)は、物流事業者に対し、自社が開催する展示会における家具の運送等の委託をする際に、自社製品を購入させた。
【公正取引委員会「(令和7年6月24日)令和6年度における荷主と物流事業者との取引に関する調査結果及び優越的地位の濫用事案の処理状況について」】
https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2025/jun/250624_buttokuchousakekka.html
長時間労働が疑われる事業場に対する令和6年度の監督指導結果
厚生労働省から、令和6年度に長時間労働が疑われる事業場に対して労働基準監督署が実施した監督指導の結果が、監督指導事例等とともに公表されました。
この監督指導は、各種情報から時間外・休日労働時間数が1か月当たり80時間を超えていると考えられる事業場や、長時間にわたる過重な労働による過労死等に係る労災請求が行われた事業場を対象としています。
結果のポイントは下記のとおりです。厚生労働省では、今後も長時間労働の是正に向けた取組みを積極的に行うとともに、11月の「過重労働解消キャンペーン」期間中に重点的な監督指導を行うとしています。
◆監督指導結果のポイント
1.監督指導の実施事業場:26,512事業場
26,512事業場に対し監督指導を実施し、21,495事業場(81.1%)で労働基準関係法令違反が認められた。
2.主な違反内容(1.のうち、法令違反があり、是正勧告書を交付した事業場)
① 違法な時間外労働があったもの:11,230事業場(42.4%)
うち、時間外・休日労働の実績が最も長い労働者の時間数が月80時間を超えるもの:5,464事業場(48.7%)
うち、月100時間を超えるもの:3,191事業場(28.4%)
うち、月150時間を超えるもの:653事業場(5.8%)
うち、月200時間を超えるもの:124事業場(1.1%)
② 賃金不払残業があったもの:2,118事業場(8.0%)
③ 過重労働による健康障害防止措置が未実施のもの:5,691事業場
(21.5%)
3.主な健康障害防止に関する指導の状況(1.のうち、健康障害防止のため指導票を交付した事業場)
① 過重労働による健康障害防止措置が不十分なため改善を指導したもの:12,890事業場(48.6%)
② 労働時間の把握が不適正なため指導したもの:4,016事業場(15.1%)
【厚生労働省「長時間労働が疑われる事業場に対する令和6年度の監督指導結果を公表します」】
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_59983.html