日本年金機構から公表された
19歳以上23歳未満の被扶養者認定要件変更の案内とQ&A
◆被扶養者認定における年間収入要件の変更
令和7年度税制改正において、19歳以上23歳未満の親族等を扶養する場合における特定扶養控除の要件の見直し等が行われました。これを踏まえ、扶養認定を受ける者(被保険者の配偶者を除く)が19歳以上23歳未満である場合の年間収入要件の取扱いが変わり、日本年金機構のホームページでは、変更内容の案内やQ&Aを公表しています。
◆19歳以上23歳未満の年間収入要件が「150万円未満」に
扶養認定日が令和7年10月1日以降で、扶養認定を受ける者が19歳以上23歳未満の場合は、現行の要件である「年間収入130万円未満」が「年間収入150万円未満」に変更になります。「年間収入要件」以外の要件に変更はありません。
年齢要件(19歳以上23歳未満)は、扶養認定日が属する年の12月31日時点の年齢で判定されます。
◆Q&A
日本年金機構のQ&Aでは、以下のようなことが示されています。
・あくまで年齢によって判断され、学生であることの要件は求めない。
・年間収入が150万円未満かどうかの判定は、従来と同様の年間収入の考え方により判定される。具体的には、認定対象者の過去の収入、現時点の収入または将来の収入の見込みなどから、今後1年間の収入を見込むこととなる。
・令和7年10月1日以降の届出で、令和7年10月1日より前の期間について認定する場合、19歳以上23歳未満の被扶養者にかかる年間収入の要件は130万円未満で判定する。
同内容は従業員への周知も必要になりますので、よく確認しておきましょう。
【日本年金機構「19歳以上23歳未満の方の被扶養者認定における年間収入要件が変わります」】
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/2025/202508/0819.html
全都道府県で初の時給1,000円超 地域別最低賃金の答申が出揃う
厚生労働省から、都道府県労働局に設置されている地方最低賃金審議会が答申した令和7年度の地域別最低賃金の改定額(以下「改定額」)が公表されました。
これは、令和7年8月4日に厚生労働大臣の諮問機関である中央最低賃金審議会が示した「令和7年度地域別最低賃金額改定の目安について」などを参考として、各地方最低賃金審議会が調査・審議して答申した結果を取りまとめたものです。
◆令和7年度 地方最低賃金審議会の答申のポイント
・47都道府県で、63円~82円の引上げ(引上げ額が82円は1県、81円は1県、80円は1県、79円は1県、78円は3県、77円は2県、76円は1県、74円は1県、73円は2県、71円は4県、70円は1県、69円は2県、66円は2県、65円は8道県、64円は9府県、63円は8都府県)
・改定額の全国加重平均額は1,121円(昨年度1,055円)
・全国加重平均額66円の引上げは、昭和53年度に目安制度が始まって以降で最高額
・最高額(1,226円)に対する最低額(1,023円)の比率は83.4%(昨年度は81.8%。なお、この比率は11年連続の改善)
今年度の最低賃金は、すべての都道府県で初めて1,000円を超えました。
答申された改定額は、令和7年10月1日から令和8年3月31日までの間に順次発効される予定です。なお、例年は大半が10月発効でしたが、2025年度は20都道府県にとどまります。11月が13府県、12月が8県で、福島、徳島、熊本、大分は2026年1月、群馬と秋田は同3月に発効します。
【厚生労働省「全ての都道府県で地域別最低賃金の答申がなされました」】
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_63030.html
国税庁が「年末調整のしかた」を公表しました
国税庁より「令和7年分 年末調整のしかた」(全64ページ、以下「パンフレット」という。)が公表されました。今年の年末調整には複数の変更点があります。企業においては早めの確認と実務への備えが大切です。パンフレットでは、「昨年と比べて変わった点」として、以下の3つが挙げられています。
◆年末調整のしかた~改正項目
1 所得税の基礎控除の見直し等
(1) 基礎控除の見直し:合計所得金額に応じて基礎控除額が58万円~95万円に
(2) 給与所得控除の見直し:最低保障額が65万円に
(3) 特定親族特別控除の創設:所得者と生計を一にする年齢19歳以上23歳未満の親族で合計所得金額が58万円超123万円以下の「特定親族」がいる場合、合計所得金額に応じて3万円~63万円を控除
(4) 扶養親族等の所得要件の改正:同一生計配偶者・扶養親族の合計所得金額の要件が58万円以下に
2 年末残高調書を用いた方式(調書方式)による住宅借入金等特別控除
3 令和8年分以後の給与の源泉徴収事務における留意事項
※上記のほか、パンフレットの表紙には「通勤手当に係る非課税限度額の改正が行われる場合には、年末調整での対応が必要となることがあります」との注意書きもあり。
誤りのない年末調整のためには、制度への従業員の理解が不可欠です。そのためにも、今回公表されたパンフレットや10月に公開予定の「年末調整がよくわかるページ」(国税庁)を確認し、改正点の周知に努めましょう。
【国税庁「令和7年分 年末調整のしかた」】
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/nencho2025/pdf/nencho_all.pdf
10月は「年次有給休暇取得促進期間」です
厚生労働省は、毎年10月を「年次有給休暇取得促進期間」と位置づけ、労働者の年次有給休暇取得を促進するための広報・啓発活動を展開しています。
年次有給休暇は働く人の心身の健康保持や生活の質の向上にとって重要な制度であり、働き方改革を推進するうえでも欠かせないものです。取得率は約65%にとどまっており、政府は2028年度までに70%の達成を目指しています。企業においては、促進期間を一つの機会として、取得率向上に向けた取組みが求められます。
◆年次有給休暇の年5日取得義務の確実な履行
労働基準法の改正により、2019年4月から使用者は年次有給休暇が10日以上付与される労働者に対し、5日の年次有給休暇を取得させる義務を負っています(労働基準法第39条第7項)。
この義務は、雇用形態にかかわらず該当するすべての労働者が対象です。取得義務を果たしていない場合には、30万円以下の罰金が科されることもあるため、法令を遵守した確実な管理が求められます。
年次有給休暇の取得促進には、計画的な業務運営や休暇の分散化に役立つ「年休の計画的付与制度」や、働く人の事情に応じた柔軟な休み方を可能にする「時間単位年休」の活用も考えられます。
取得しやすい職場環境の整備を進める
取得を促進するためには、計画的付与制度の活用や繁忙期を避けた時期の調整、管理職への周知などが有効です。また、業務の割振りや職場内の雰囲気づくりといった面からも、取得しやすい環境を整備していく必要があります。
こうした取組みは、働く人の健康維持にとどまらず、モチベーションの向上や職場の定着率の改善にもつながるものと考えられます。
企業は、制度の趣旨を踏まえ、年次有給休暇の取得が円滑に進むような体制づくりを進めることが求められます。
【厚生労働省「年次有給休暇取得促進特設サイト」】
https://work-holiday.mhlw.go.jp/kyuuka-sokushin/