2025年7月

令和7年3月卒業者の就職状況と令和8年3月高校卒業予定者の求人・募集スケジュール

◆令和7年3月卒業者の就職率

厚生労働省の取りまとめによると、令和7年3月に高校や中学を卒業した生徒について、令和7年3月末現在のハローワーク求人における高校新卒者の就職内定率は99.0%(求人倍率4.10倍)、中学新卒者の就職内定率は82.6%(同2.67倍)となっています。同じく令和7年3月卒業の大学生の就職率も98.0%となっており、いずれも高水準を維持しています。

◆令和8年3月高校卒業予定者の求人・募集スケジュール

令和8年3月大学等卒業予定者の採用選考はすでに本格的にスタートしているところですが、令和8年3月高校卒業予定者の採用選考期日は以下の通りで、6月からハローワークによる求人申込書の受付が始まっています。

○ハローワークによる求人申込書の受付開始……6月1日

※ハローワークにおいて求人の内容が確認された後、学校に求人が提出されます。

○企業による学校への求人申込および学校訪問開始……7月1日

○学校から企業への生徒の応募書類提出開始

……9月5日(沖縄県は8月30日)

○企業による選考開始および採用内定開始……9月16日

◆高卒採用のニーズが増加

人手不足で若者の採用が難しくなっている中、近年、高校新卒者の求人数は増加しています。高卒採用は独自のルールが定められていることから注意すべき点も多いですが、企業のニーズに合わせて活用が検討されるところです。

【厚生労働省「令和7年3月大学等卒業者の就職状況(4月1日現在)を公表します」】

https://www.mhlw.go.jp/content/11805001/001491440.pdf

【厚生労働省「令和6年度「高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る

求人・求職・就職内定状況」取りまとめ(3月末現在)」】

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001492100.pdf

 

カスハラ・就活セクハラ対策を盛り込む法改正が行われます

6月4日、労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律等の一部を改正する法律が参議院本会議で可決・成立しました。一部を除き、公布の日から起算して1年6月以内で政令で定める日に施行されます。

◆改正の概要

1.ハラスメント対策の強化【労働施策総合推進法、男女雇用機会均等法】

① カスタマーハラスメントを防止するため、事業主に雇用管理上必要な措置を義務付け、国が指針を示すとともに、カスタマーハラスメントに起因する問題に関する国、事業主、労働者及び顧客等の責務を明確化する。

② 求職者等に対するセクシュアルハラスメントを防止するため、事業主に雇用管理上必要な措置を義務付け、国が指針を示すとともに、求職者等に対するセクシュアルハラスメントに起因する問題に関する国、事業主及び労働者の責務を明確化する。

③ 職場におけるハラスメントを行ってはならないことについて国民の規範意識を醸成するために、啓発活動を行う国の責務を定める。

2.女性活躍の推進【女性活躍推進法】

① 男女間賃金差異及び女性管理職比率の情報公表を、常時雇用する労働者の数が101人以上の一般事業主及び特定事業主に義務付ける。

② 女性活躍推進法の有効期限を令和18年3月31日まで、10年間延長する。

③ 女性の職業生活における活躍の推進に当たっては、女性の健康上の特性に配慮して行われるべき旨を、基本原則において明確化する。

④ 政府が策定する女性活躍の推進に関する基本方針の記載事項の一つに、ハラスメント対策を位置付ける。

⑤ 女性活躍の推進に関する取組が特に優良な事業主に対する特例認定制度(プラチナえるぼし)の認定要件に、求職者等に対するセクシュアルハラスメント防止に係る措置の内容を公表していることを追加する。

⑥ 特定事業主行動計画に係る手続の効率化を図る。

3.治療と仕事の両立支援の推進【労働施策総合推進法】

○ 事業主に対し、職場における治療と就業の両立を促進するため必要な措置を講じる努力義務を課すとともに、当該措置の適切・有効な実施を図るための指針の根拠規定を整備する。

【厚生労働省「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律等の一部を改正する法律案の概要」】

https://www.mhlw.go.jp/content/001438881.pdf

https://www.mhlw.go.jp/stf/topics/bukyoku/soumu/houritu/217.html

 

職場での熱中症対策義務化

◆改正の概要

近年の猛暑や職場での熱中症による死傷災害の増加を受け、職場での熱中症対策が法的義務として強化されています。具体的には、令和7年6月1日、職場における熱中症対策の義務化を含む、改正労働安全衛生規則が施行されました。

対象となるのは、「WBGT(暑さ指数)28℃以上または気温31℃以上の環境で、1時間以上または1日4時間を超えての実施」が見込まれる作業です。これについて、熱中症の重篤化を防止するため「体制整備」「手順作成」「関係者への周知」が事業者に義務付けられました。

◆主な義務内容

・報告体制の整備と周知:「熱中症の自覚症状がある作業者」や「熱中症のおそれがある作業者を見つけた者」がその旨を報告するための体制整備および関係作業者への周知。

※報告を受けるだけでなく、最適温度管理バディ制の採用、ウェアラブルデバイス等の活用や労働環境内での冷却装置等により、熱中症の重症状がある作業者を積極的に把握するように努める。

・重篤化防止措置の準備と周知:熱中症のおそれがある労働者を把握した場合に迅速かつ的確な判断が可能となるよう、①事業場における緊急連絡網、緊急搬送先の連絡先および所在地等、②作業離脱、身体冷却、医療機関への搬送等熱中症による重篤化を防止するために必要な措置の実施手順の作成および関係作業者への周知。

これらの措置を怠った場合、6カ月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が科される可能性があります。従業員の命を守るためにも、また法令遵守のためにも、今後は作業環境の見直しや従業員への教育・訓練の実施がより一層重要となります。

詳細は、厚生労働省のパンフレット・リーフレットをご参照ください。

【厚生労働省「職場における熱中症対策の強化について」】

https://www.mhlw.go.jp/content/11303000/001476824.pdf

 

遺族厚生年金の見直しについて

◆年金制度改正法案に対する意見

遺族年金の見直しをめぐり、SNS等に“5年で打切り”“大幅カット”といった投稿がなされ、国会議員に苦情が寄せられていると報じられています。

こうした反応を受け、厚生労働省は6月3日、「遺族厚生年金の見直しに関するご指摘への考え方」を示しました(6月11日更新)。

◆既に遺族厚生年金を受給している方等は見直しの対象外

見直しの施行直後に原則5年の有期給付の対象となるのは、18歳年度末までの子がいない、2028年度末時点で40歳未満の女性で、既に遺族厚生年金を受給している方や60歳以降に遺族厚生年金の受給権が発生する方、2028年度に40歳以上になる女性には、影響はありません。

18歳年度末までの子がいる方は、子が18歳年度末になるまでの間の給付内容は現行制度と同じです。

◆「5年の有期給付」について

見直し後は、60歳未満で死別した場合、原則5年間の有期給付となりますが、この給付には加算が上乗せされ、5年有期給付の遺族厚生年金の額は現在の約1.3倍となります。要件を満たす方は、中高齢寡婦加算も支給されます。

また、障害年金受給権者や単身で就労収入が月額約10万円以下の方は継続給付として引き続き増額された遺族厚生年金が支給され、収入が増加するにつれて収入と年金の合計額が緩やかに増加するよう年金額が調整されます。

◆遺族厚生年金の男女差の解消

現行では、女性が30歳以上で死別した場合に無期給付となる一方、男性は55歳未満で死別した場合給付がなく、55歳以上で死別した場合、60歳から無期給付となります。

見直し後は、男女ともに収入要件がなくなり、上記の給付が受けられるようになります。

【厚生労働省「遺族厚生年金の見直しについて」】

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000147284_00020.html